低炭水化物食(ロカボ)で健康になれるのか。
かなりゆるやかな更新になっています。
修士論文も終わったのでまずはロカボについてかいてみようかと思います。
先日、ネットでこんな記事を見かけました。
https://twitter.com/Urocortin/status/953426985631465472
ローソンが健康支援のための店舗を展開するようで、「ロカボで健康、始めませんか?」と書かれています。ロカボ商品を摂取することで健康になれるような書き方ですね。。。私はロカボで健康になれる可能性は低いと考えています。
そこで今回は、ロカボで健康になれるのかについて少しだけ批判的に書きたいと思います。
※今回の場合は低炭水化物食について長期的な検討を行っている論文に関してレビューします。医学研究ではRCT(ランダム化比較試験)がエビデンスレベルが高く、重要視されます。しかし、栄養学は薬とは違うため、短い期間では身体に大きな影響を及ぼさない事も多いのです。特に今回のように、健康になれるかを争点とする場合、短期的な血糖値の変化を知るより、長期的にどのような食生活を送ると糖尿病になりやすいのかを知った方が良いと思います。特に低炭水化物食が身体に及ぼす影響は短期間と長期間で大きく異なりますので、ご注意ください。
① 低炭水化物食にすると食事はどのように変わるのか?
低炭水化物食は単純に炭水化物だけを減らすわけではありません。エネルギー摂取量を維持するためには炭水化物摂取量を減らした分、脂質とたんぱく質で補わなければいけません。A to Z studyというトライアルでは、低炭水化物食であるAtkins食と低脂質食であるOrnish食を8週間実施した際の栄養素の比較を行っています(1)。
その結果、低炭水化物食では、たんぱく質と脂質摂取量が大きく増加していました。
② 低炭水化物高たんぱく質食では心血管疾患リスクを増加させる??
スウェーデン女性を平均15.7年間フォローアップしたSwedish Women's Lifestyle and Health Cohortでは、LCHP(低炭水化物高タンパク質)スコアを作成して心血管疾患発生率比との関連を調べています(2)。
LCHPスコアとは、炭水化物摂取量を10分位に分け、摂取量が多いグループから1点、2点、、、と加点していきます。同様にたんぱく質摂取量をグループ分けし、たんぱく質摂取量が少ないグループから1点、2点、、、と加点していき、点数を合計しスコアを作成します。これにより、点数が高い人ほど炭水化物摂取量が少なく、たんぱく質摂取量が多くなります。
その結果、LCHPスコアが6以下の人と比較して16以上の人では、心血管疾患リスクが60%も高くなっていました。(下の図を参照)
いくつかの解説では、この研究のLimitationとして、食事記録がベースライン時の1回であることと、食塩摂取量の調整が不足している事を上げていますが、Cox比例ハザードモデルで解析するには、ベースライン時のデータのみを使うしかありませんし、FFQではきちんと食塩摂取量を把握できませんので、この研究に限ったLimitationではないかなと思います。
③ 低炭水化物食で死亡リスクが上がる??
次の論文は、アメリカの大規模コホート研究であるNHSとHPFSのデータを用いたものです。NHSとHPFSは医療従事者を対象としたコホート研究で、今回の論文ではベースライン時に34-75歳の男女129,716人を解析しています(3)。
この論文でも同じように低炭水化物スコアを作成し、動物性食品と植物性食品を考慮したスコアも作成しています。
その結果、最も低炭水化物スコアが低い群と比較して、最も低炭水化物スコアが高い場合(低炭水化物な食生活を送っている人の場合)、総死亡リスクが高いことが分かりました。またこの影響は特に動物性食品を多く摂るような低炭水化物食の場合、心血管疾患、がん死亡率のリスクも増加させていました。
逆に植物性食品を多く食べるような低炭水化物食の場合、総死亡、心血管疾患リスクは低下しました。
多くの場合、低炭水化物食にする場合は、肉をどれだけ摂っても良いとされますので、植物性食品が多い場合の人はベジタリアンの人などごく限られた人であると考えられます。
上記の研究を含め、人を対象とした研究で、5年以上追跡をした研究を解析したメタ解析では、低炭水化物食により、総死亡リスクが31%増加していました(4)。
④ 糖尿病(妊娠糖尿病)リスクが増加する??
アメリカで実施されたHPFS(男性医療従事者を対象としたコホート研究)では、ベースライン時に健康な40-75歳の男性40,475人を約20年追跡しており、その結果、低炭水化物食と糖尿病リスクの増加との関連が示されました(5)。
この論文では、赤身肉、加工肉もしくは動物性脂質もしくはヘム鉄で調整すると低炭水化物食と糖尿病リスクが有意でなくなることから、低炭水化物食による増加する動物性食品を問題視しています。
同様の検討を女性で行っていますが女性では関連は見られませんでした(6)。
しかし、NHSIIのデータを用いた解析では妊娠前の食事が低炭水化物食であった場合、妊娠糖尿病のリスク増加との関連が示されています(7)。
さらに、同じNHSIIのデータを用いて妊娠糖尿病の人が、妊娠中に低炭水化物食の食事パターンであった場合、2型糖尿病リスクの増加と関連していました(8)。
考察
長期的な目線で見ると、低炭水化物の食事パターンであった場合、死亡率の増加や疾患リスクの増加が認められています。ロカボにして糖尿病リスクが上がるとは意外だと思います。しかし、ここまで見てきてわかると思いますが、炭水化物と言うより動物性食品の摂取量が増加することが原因だと考えられます。最近ではたんぱく質摂取量の増加により寿命が短くなるという報告もあり、炭水化物の代わりに肉をいくらでも食べてよいというのは危険な可能性があります。このような論文があるにも関わらず、テレビや書籍ではあたかもロカボが健康的だと謳われ、その多くで炭水化物を制限して肉をたくさん食べようと伝えられていませんか??
ところで、これらを見て炭水化物をたくさん食べれば健康になれると考えるのは早計ですよ。日本人を対象としたJPHCでは女性で1日に米飯を420g(茶わん3杯程度)以上食べる人で、糖尿病リスクが増加しています(9)。食事はバランスよく食べて、適度に運動を行う事が一番だと思います。
今回はコホート研究だけでしたが、トライアルや、ロカボの減量効果、糖尿病治療に低炭水化物食はどうなのか?などもご紹介できたらと思います。
なにかお気づきの点などありましたら、教えてくださいね。それではまた。。。
参考文献
1. Am J Clin Nutr. 2010 Aug;92(2):304-12.
2. BMJ 2012; 344 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e4026
3. Ann Intern Med. 2010 Sep 7; 153(5): 289–298.
4. PLoS ONE 8(1): e55030.
5. Am J Clin Nutr. 2011 Apr;93(4):844-50.
6. Am J Clin Nutr. 2008 Feb;87(2):339-46.
7. Am J Clin Nutr. 2014 Jun;99(6):1378-84.
8. Diabetes Care. 2016 Jan;39(1):43-9.
9. Am J Clin Nutr. 2010 Dec;92(6):1468-77.
Rを用いた偏相関係数の算出
メリークリスマスですね。海外ではHappy Hollidaysと言うんだとか。
さて、投稿していた論文の査読結果が返ってきました。
この研究はサルコペニアの重症化予防に関する研究なのですが、
相関係数も年齢調整したものを出してみたらどうですか?とのこと。。。
回帰分析では年齢や性別で調整した偏回帰係数を算出することが多いのですが、相関係数でも同じようなことはできるのでしょうか?
だいたいRの基本的な統計手法はネットで誰かの手により解説されていますが、偏相関係数に関しては見かけなかったので、調べてみました。
と、いうか、偏相関係数をメインの結果にしている論文を私は見たことがありませんけどね。。。
パッケージはppcorというものです。
偏相関係数に特化していて解説書もコンパクト。
https://cran.r-project.org/web/packages/ppcor/ppcor.pdf
ではでは、フィッシャーのあやめのデータ(iris)を使って解析していきましょう。
Sepal(がく片)Petal(花びら)のそれぞれの長さ(Length)と幅(Width)と
品種(Species):setosa, versicolor, virginica のデータが含まれています。
RはMicrosoft R Open 3.4.2 を使用しています。
パッケージは今回ppcorとpsychが必要です。
knitしたので内容を見ていきましょう!!
Calculate the partial correlation by ppcor.
Urocortin
2017年12月22日
まずはデータを見てみます。
head(iris)
## Sepal.Length Sepal.Width Petal.Length Petal.Width Species
## 1 5.1 3.5 1.4 0.2 setosa
## 2 4.9 3.0 1.4 0.2 setosa
## 3 4.7 3.2 1.3 0.2 setosa
## 4 4.6 3.1 1.5 0.2 setosa
## 5 5.0 3.6 1.4 0.2 setosa
## 6 5.4 3.9 1.7 0.4 setosa
str(iris)
## 'data.frame': 150 obs. of 5 variables:
## $ Sepal.Length: num 5.1 4.9 4.7 4.6 5 5.4 4.6 5 4.4 4.9 ...
## $ Sepal.Width : num 3.5 3 3.2 3.1 3.6 3.9 3.4 3.4 2.9 3.1 ...
## $ Petal.Length: num 1.4 1.4 1.3 1.5 1.4 1.7 1.4 1.5 1.4 1.5 ...
## $ Petal.Width : num 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.4 0.3 0.2 0.2 0.1 ...
## $ Species : Factor w/ 3 levels "setosa","versicolor",..: 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ...
describeは非常に便利です。
## 平均、SE、SE、中央値、IQRの計算
describe(iris[,-5],quant=c(.50,.25,.75),ranges=F,skew=F)
## vars n mean sd se Q0.5 Q0.25 Q0.75
## Sepal.Length 1 150 5.84 0.83 0.07 5.80 5.1 6.4
## Sepal.Width 2 150 3.06 0.44 0.04 3.00 2.8 3.3
## Petal.Length 3 150 3.76 1.77 0.14 4.35 1.6 5.1
## Petal.Width 4 150 1.20 0.76 0.06 1.30 0.3 1.8
pairsも非常に便利です。相関、散布図、ヒストグラム、密度プロットなどが一目でわかります。(少しかっこ悪いし、相関が有意かどうか分からないので、私は師匠がmodifyしてくれたものを使用しています。)
pairs.panels(iris)
まずは、相関を出してみましょう。
d1 <- iris[,-5]
## 相関行列
### P値は斜めうえの部分が多重検定した分を調整
corr.test(d1)
## Call:corr.test(x = d1)
## Correlation matrix
## Sepal.Length Sepal.Width Petal.Length Petal.Width
## Sepal.Length 1.00 -0.12 0.87 0.82
## Sepal.Width -0.12 1.00 -0.43 -0.37
## Petal.Length 0.87 -0.43 1.00 0.96
## Petal.Width 0.82 -0.37 0.96 1.00
## Sample Size
## [1] 150
## Probability values (Entries above the diagonal are adjusted for multiple tests.)
## Sepal.Length Sepal.Width Petal.Length Petal.Width
## Sepal.Length 0.00 0.15 0 0
## Sepal.Width 0.15 0.00 0 0
## Petal.Length 0.00 0.00 0 0
## Petal.Width 0.00 0.00 0 0
##
## To see confidence intervals of the correlations, print with the short=FALSE option
相関係数とP値が出ます。P値は上の三角が多重検定を調整したP値になります。
単相関でみてみると、細かな情報まで出してくれます。
## 単相関
cor.test(iris$Sepal.Length,iris$Petal.Length, method="pearson")
##
## Pearson's product-moment correlation
##
## data: iris$Sepal.Length and iris$Petal.Length
## t = 21.646, df = 148, p-value < 2.2e-16
## alternative hypothesis: true correlation is not equal to 0
## 95 percent confidence interval:
## 0.8270363 0.9055080
## sample estimates:
## cor
## 0.8717538
t値、自由度、P値、帰無仮説が何か、95%信頼区間、相関係数を出力してくれます。
では、実際に偏相関係数を計算してみましょう。めっちゃ簡単です。
## 偏相関係数(他のもので調整した相関係数)とP値
pcor(d1)
## $estimate
## Sepal.Length Sepal.Width Petal.Length Petal.Width
## Sepal.Length 1.0000000 0.6285707 0.7190656 -0.3396174
## Sepal.Width 0.6285707 1.0000000 -0.6152919 0.3526260
## Petal.Length 0.7190656 -0.6152919 1.0000000 0.8707698
## Petal.Width -0.3396174 0.3526260 0.8707698 1.0000000
##
## $p.value
## Sepal.Length Sepal.Width Petal.Length Petal.Width
## Sepal.Length 0.000000e+00 1.199846e-17 7.656980e-25 2.412876e-05
## Sepal.Width 1.199846e-17 0.000000e+00 8.753029e-17 1.104958e-05
## Petal.Length 7.656980e-25 8.753029e-17 0.000000e+00 7.332477e-47
## Petal.Width 2.412876e-05 1.104958e-05 7.332477e-47 0.000000e+00
##
## $statistic
## Sepal.Length Sepal.Width Petal.Length Petal.Width
## Sepal.Length 0.000000 9.765380 12.502483 -4.362929
## Sepal.Width 9.765380 0.000000 -9.431189 4.553279
## Petal.Length 12.502483 -9.431189 0.000000 21.398708
## Petal.Width -4.362929 4.553279 21.398708 0.000000
##
## $n
## [1] 150
##
## $gp
## [1] 2
##
## $method
## [1] "pearson"
estimateが実際に2者以外の全てで調整した相関係数になります。p.valueがそのP値。
statisticはあまりよくわかりません。(t値?)
nがサンプル数で、gpは与えられた変数がいくつかという事らしいです。
methodは、pearson、kendall、spearmanのいずれも使用できます。
では、2変数の相関を他の1変数で調整してみましょう。
## 第三の変数で調整した二変数間の偏相関係数
pcor.test(iris$Sepal.Length,iris$Petal.Length,iris[,c("Sepal.Width")],method = c("pearson"))
## estimate p.value statistic n gp Method
## 1 0.9153894 5.847914e-60 27.56916 150 1 pearson
出力は同じようにでてきます。
私のように、AとBの年齢調整した相関を出したい!という時はこのようにすればOKです。
ちなみに、調整変数を増やすこともできます。
## 調整するものを増やすことも可能(Factorはダメ)
pcor.test(iris$Sepal.Length,iris$Petal.Length,iris[,c("Sepal.Width","Petal.Width")],method = c("pearson"))
## estimate p.value statistic n gp Method
## 1 0.7190656 7.65698e-25 12.50248 150 2 pearson
変数にfactorは用いれません!あと、欠損値もダメです。
意外と使える範囲は狭そう。。。
今回は偏相関係数の使用方法を書きましたが、前述したとおり、相関係数を論文のメインのアウトカムに持ってくることはあまりしませんよね。偏相関も論文ではほとんど見たことがありません。
再解析してみると、年齢調整してもあまり大きくは結果が変わりませんでしたし、limitationのところに、Additional analyses adjusting for age did not alter the results.とでも追加しておきましょうかね。
今日はこのへんで。間違ってたら教えてください。
炭水化物は悪者なのか?
糖質制限が話題ですよね。コンビニに行っても糖質制限商品をたくさん見ます。
炭水化物おばけの私としては、炭水化物が悪者のような世の中の風潮には疑問ですし、何より悲しいなぁ、、、
少し前の話ですが、Lancetというジャーナルに「炭水化物の摂りすぎは死亡リスクを高めますよ」という論文が掲載されました。
タイトルは「Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study」
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)32252-3/fulltext
アブストを読むと確かに炭水化物の摂りすぎは良くなさそう。しかも、「国際的な食事ガイドラインは考え直すべきだ!」と強気な発言まで。。。炭水化物大好きな私は死んでしまうのか、、、(笑)
中身を読んでみると、うーん。。。これは、関係ないな!とスルーしていたんです。
ところがどっこい。最近になって、「糖質制限の有用性が示された!」というネットの記事がたくさん見られるようになりました。(大きな声では言えませんが、中には論文の解釈が間違っているものもあります。)
これはいけない!ということで、今回は論文を読んでいこうかと思います!
※ 炭水化物と糖質は細かくいうと少し違います。(炭水化物=糖質+食物繊維)
英語の文献のほとんどは Low Carbohydrate diet(低炭水化物食)です。しかし、日本ではほぼ同じ意味ながらしばしば糖質制限食と呼ばれます。
ごちゃごちゃになってしまいますが、基本的には同じものとおもってください。
この研究は、Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) studyというとてもとても大規模なコホート研究のデータを使用しています。
参加者は13万人以上で、中央値で約7年追跡したデータを解析しています。
国としては以下の3つのグループに分けられています。
中所得国:アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区、ポーランド、南アフリカ、トルコ
食事データは、複数回のFFQを用いた24時間食事思い出し法にて調査しています。
アウトカムは、総死亡率、主要な心血管イベント、心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患死亡率、非心血管疾患死亡率で、炭水化物と脂質及びその質(飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸)、たんぱく質のエネルギー比で5分位に分け、Cox frailtyモデルでハザード比を算出しています。
では、問題の結果はどうだったのでしょうか?
フォローアップ期間中に、5796名の死亡と、4784の主要な心血管イベントを観察しました。
炭水化物の摂取増加は総死亡リスクと有意に関連していました。(最も高炭水化物なグループ(炭水化物エネルギー比77.2%)は最も低炭水化物なグループ(炭水化物エネルギー比46.4%)と比較して、HR (95%CI) 1.28 (1.12-1.46))炭水化物エネルギー比が最も少ない46.4%のグループと比較すると、炭水化物エネルギー比が67.7%程度のグループから有意なリスク上昇が見られています。さらに、炭水化物エネルギー比が増加すると、ハザード比が上昇する傾向性も示唆されました。
同様の解析は、心血管疾患イベントもしくはその死亡率をアウトカムとした際には有意な関連性は示しませんでした。
では、脂質ではどうだったのでしょう?
総死亡率をアウトカムとした場合、脂質摂取量が多いほど、死亡リスクの低下と有意に関連していました。(それぞれ、摂取量が最も少ないグループと比べた摂取量が最も多いグループのハザード比は、総脂質 0.77 (0.67-0.92)、飽和脂肪酸 0.86(0.76-0.99)、一価不飽和脂肪酸 0.81 (0.71-0.92)、多価不飽和脂肪酸 0.80 (0.71-0.89))
脳卒中をアウトカムとした場合、飽和脂肪酸摂取量が多いほど、リスクは低下しました。HR 0.79 (0.64-0.98)
この結果だけを見ると、脂質をたくさん食べて(特に飽和脂肪酸)、炭水化物を制限した方が、長生きできそうですね(笑)
しかし、中身を読んでみると、少し様子が違っています。以下に少しまとめてみました。
① 糖質制限を勧める根拠にはならない(特に日本人では)
まず、全てをまとめた結果では炭水化物エネルギー比67.7%以上でリスクの増加を認めています。つまり、日本人の食事摂取基準の目標量である50~65%や、糖尿病の食品交換表で用いている50~60%では有意なリスク上昇はありません。これは、単純に炭水化物の食べすぎが問題であるというだけで、普通に摂取する分には問題ありません。さらに、日本人と同じく高炭水化物だけど低脂質なアジア諸国(主食は米)でのサブ解析では、炭水化物を79.4%食べても有意なリスク上昇にはつながっていませんでした。(アジア諸国では食べ過ぎても関係ない)
② 対象者のincomeが多様すぎる
みなさんも読んでいて気になりませんでしたか?そうなんです。国が多様すぎるんです。同じ日本でも食習慣の違いがあるように、世界ではもっと食習慣や生活環境が多様です。人数が多いため、母集団に近い地球規模の研究ですが、日本人に一般化は難しいように感じます。脂質をたくさんとるほど長生きという通常考えにくい結果はこれらの影響でしょう。脂質を最も多く摂取しているグループはエネルギー比35.3%です。しかし、脂質を最も少なく摂取しているグループではエネルギー比で10.6%しか摂取できていません。つまり、食事の影響以外に、貧しさも関連しているのではないかと考えられます。実際、メインの結果ではenergy intakeで調整しているものの、incomeでは調整していません。(考察の中に、incomeで調整したけど、ほぼ同じ結果だったよと書いてありました。)貧しくて、芋や穀物しかたべられないような人たちは、医療を受けられなかったり、衛生的な問題から残念ながら長生きしにくいですよね。
食事調査に用いたFFQは先進国でしか妥当性の検討ができていないようですね。
芋を主食とする途上国では様々な種類の芋を食べますし、、、
まぁ、しっかりと論文を読んでみると、糖質制限を後押しするものではないかなという気がします。ネットで糖質制限の記事を書いている先生などは、たいてい糖質制限商品のプロデュースなどを行っていますし、糖質制限の本をたくさん出しています。糖質制限が流行るほど彼らは儲かるのです。
炭水化物制限と糖尿病、体重減少、血糖コントロールに関しては一定の見解は得られていません。しかし、飽和脂肪酸の摂取量増加は糖尿病リスクの増加と関連しています。食事の決定は個人の自由ですが、何事も極端なのはよくないかと思います。
この記事は、ただただ栄養学を学んでいる大学院生が書いたものなので、必ずしも合っているとは限りません。間違ってたらコメントで教えてくださいね。
では今日はこれくらいで。
またほかの話も今後できたらと思います。
久しぶりの更新です。
ほとんど見ている人はいないでしょうが、久しぶりの更新です。
何せ、国家試験、大学院入学などなど大忙しだったものですから、少しくらい許してください。。。なんて言い訳ですが(笑)
国家試験は無事に点数も大丈夫そうだし、大学院も慣れない環境ですが、入学してから10日経ちました。そろそろバイトを探さなければ、、、
せっかく管理栄養士もあり、大学院でさらに栄養学を勉強しようと思っているのですから、少しずつ栄養に関する話題を発信していこうかなと思います。
間違っていることもあるかもわかりませんがよろしくお願いいたします。
これから数回にわたってまずは肥満について書いていこうと思います。
現在、日本では3割程度の人が肥満であるといわれています。
美味しい食べ物が周りにたくさんあり、交通手段の発展により運動もしなくなり、デスクワークがメインになれば、おのずと肥満が増えてくるのは仕方ないのかもしれませんね。
なぜ、肥満が問題なのか。どうすればいいのか。
様々な意見が世の中を飛び回っていますが、せっかくなので正しい知識をつけてこの現代社会を健康的に生活してもらいたいと思います。
「何を食べたら太るのか」
皆さんは何を食べたら太ると思いますか?
多くの人は「油っぽいもの」、「甘いもの」等を想像すると思います。
食べ物や栄養素の違いによって太りやすいものがあるのでしょうか?
基本的に、体内でエネルギーとして利用できる栄養素は糖質、脂質、タンパク質の三つです。これらの栄養素1gあたりのエネルギーは以下のようになります。
糖質1g・・・約4キロカロリー
脂質1g・・・約9キロカロリー
タンパク質1g・・・約4キロカロリー
これを見ると、同じ重量を摂取した場合は脂質が最もエネルギーが多いということがわかります。つまり、知らず知らずのうちにエネルギー過剰になりやすい栄養素ということなんですね。一方で、脂質は1g当たりのエネルギー量が多く、他の栄養素よりも栄養補給をする際は少ない量で大きなエネルギーを得られるため、優れた栄養素である。という一面もあります。
それ以外にも、脂質は細胞膜を構成する上で非常に大事な役目をしています。ホルモンを作るのにも脂質は必要ですし、必須脂肪酸(体内で合成することができないため、食事から摂取しないといけない脂肪酸)が不足すると皮膚炎などを起こします。
つまり、太りやすいからと避けられがちな脂質にも、体内では非常に重要な役割があるというわけです。
今日言いたいことは、特定の栄養素を減らしての減量にはその栄養素が不足するリスクがあるということです。
健康になるためにダイエットをして健康を害してしまっては元も子もありません。
様々な情報が飛び交う中で、何を信じていいのかわからないかもしれませんが、栄養素を極端に制限するダイエットは良くないということだけは忘れないでくださいね。
それではまた、次回
明日は。。。
私の趣味はモータースポーツ観戦でもあります。
昔から車は好きだったんですが、最近は特に好きで、スーパーGT、全日本ラリー選手権にハマっています。
そして、明日は、ついに、新城ラリー!
もちろん見に行きますよ!
その模様はまた後日アップしますね。
まさかのカルソニックがポールポジション!楽しみです!
今日は、何の話をしようかなと思ったのですが、管理栄養士らしくダイエットの話でも。
The most cause of weight gain is eating more food than your body needs.
すごく基本的な英語ですね。
体重増加の原因で最も多いのは、あなたの体が必要としているよりたくさん食べることである。
一言でいえばこれに尽きます。
もちろん医学的な不調により肥満が引き起こされるものもありますが、そうでないものがほとんどですね。
ダイエットはほとんどこの食べる量を減らすことで、体重を落とそうとしているのです。
ただ、注意点があって、痩せて、体の調子が悪くなるダイエットも数多く存在します。
例えば、私が最近本屋さんに行った時の事です。
様々なダイエット本がある中にこんな本がありました。
詳しくは言いませんが、ケトン体を増やして健康になろうという趣旨のものです。
全てを読んだわけではないので一概に否定はできませんが、ケトン体をむやみに増やす食生活は危険です。
ケトン体はどうしたら増えるのか。具体的には、糖質制限と絶食ですね。
脳のエネルギーとなるものは、糖質とケトン体のみです。
(もちろん優先順位は糖質(グルコース)が先です。)
ケトン体というのはアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンの総称で、肝臓で脂肪酸由来のアセチルCoAによって作られます。(難しい話はこの辺にして。)
何が問題かといいますと、このケトン体が体内に増えると、ケトーシスという状態になります。
この状態は非常に危険で、場合によっては死を招くこともあるのです。
さて、その本には、ケトン体を増やす食生活は、痩せられて、頭がさえるとかいてありました。
もちろん、エネルギー制限をすれば痩せます。が、ケトン体を増やすことの有用性に関する医学的根拠はかなり乏しいですね。
ただ、一般の方がこの本をすべて信じたら危ないなって思うんです。
物事には必ず、裏の面がありますからね。
ちなみにケトン体を増やす事の有用性に関する医学的根拠が乏しいのにも理由があります。
この手の研究は殆ど倫理委員会を通りません。当たり前ですね、こんな危険性があるのですから。
ダイエットも多種多様になり、自分で取捨選択しなくてはいけない時代になった話でした。
なんか、文面が首尾一貫してませんね。すみません。
ではまた。
エリーゼの謎
初めてなので、自己紹介も兼ねて。
東海地方に住んでおり、管理栄養士を目指して大学に通っています。
興味のある物は、音楽、車、栄養です。
さて、今日はエリーゼの謎について!
お菓子?車?
誰もが聞いたことのある曲だけど、エリーゼって誰???
有力な説としては、1810年にテレーゼ・マルファッティさんのために書かれた曲だと言われています。
「テレーゼ」を音楽出版社が間違えて「エリーゼ」と印刷したのだとか。
ベートーヴェンってちょっと堅物なイメージありませんか?
なんていうか、常に苦悩の中にいて、、、みたいな
実は、そんな事はなかったと言われています。
「エリーゼのために」以外にも女性に贈った曲があるのです。
それは「月光」だと言われています。
この曲はジュリエッタさんという方に送ったそうですよ。
月光って、冒頭結構暗いですよね。
第三楽章ならともかく(笑)
ベートーヴェンって実はロマンチックな人なんですよって話でした。